MBO(目標管理制度)とは?導入手順や注意点などを解説

2022年11月30日

2024年4月26日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

MBOは、目標管理制度を意味するビジネス用語です。用語として耳にしたことはあっても、MBOの詳細まで把握できていない方も多いのではないでしょうか。今回は、MBOの概要やOKRとの違い、種類について紹介します。実際にMBOを導入する手順についても解説しているので、自社でMBOを導入する際の参考にしてください。

MBOとは

MBOとは、目標の達成度を個人またはグループが管理する方法のことを指します。「目標による管理」を意味する、Management by Objectivesが語源とされています。またMBOにより設定される目標には定義がありません。そのため企業ごとに適した目標の設定が一般的です。

なぜMBOが求められるのか

中小企業の場合、後継者不足や数年先のビジョンが不透明になりがちという問題があります。そのため、MBOを適切に行って成果を常に出さなければ、事業の継続や後継が困難になります。上場企業においても、上場を維持することが困難になっていることを理由に、MBOへの注目度が高まっています。このように規模を問わず、企業としての未来を具体化するために、MBOが重視されているといえます。

OKRとの違い

MBOと混同されがちなOKR(Objectives and Key Results)の違いは、制度としての「視点」と「対象」です。MBOは、目標達成に対する「評価」のカラーが強い傾向にあります。対してOKRは、個人のスキルを引き出す「育成」に力を入れている点が特徴です。また、個人・チームとしての目標であるMBOに対し、OKRは企業全体の目標を表します。
このようにMBOとOKRは意味合いが似ていても、「視点」と「対象」に違いがあります。

押さえておくべき3つのMBO

MBOには、組織活性型・人事評価型・課題達成型の3種類があります。それぞれについて、以下で解説します。

組織活性型

従業員本人に目標を設定させることが組織活性型の特徴です。個人としての自主性を引き出す効果が期待できます。従業員一人ひとりの自主性が高まることで、企業全体の成果向上につながるでしょう。

人事評価型

MBOを評価基準として取り入れるものが人事評価型です。年功序列のような、新しい働き方にそぐわない制度を見直すために導入されています。個人の課題を目標として設定することで、達成具合をもとに適切に評価できる特徴があります。

課題達成型

課題設定型は企業視点で課題を設定し、達成に向けて従業員個人が目標を設定する方式です。企業としてのゴールを達成するため、自分が何をすべきか客観的に把握できます。従業員のモチベーションが向上するのはもちろん、全社目標の達成が見やすくなるといった企業側のメリットもあります。

MBOを導入する手順

MBOは、以下の手順による導入が一般的です。

  1. 目標設定
  2. 実行
  3. 進捗確認
  4. 評価

MBOの導入における基本ステップについて、詳しく解説します。

目標設定

まずは、経営戦略をベースとした全社目標を設定します。全社目標にあわせて、個人の目標を設定するのもこの段階です。目標設定については、あくまで従業員が主体となることを前提にしましょう。上司が設定した目標では、自主性が身につきにくいといえます。ただし、従業員任せにしすぎるあまり、目標の精度が低くなることもあります。従業員が設定した目標を客観視し、より良いものにブラッシュアップする時間も設定しましょう。

実行

目標を設定したあとは上司とともに設定した目標を、達成に向けて実行します。ゴールとなる目標に向けて、中間指標を設定しておくと達成がイメージしやすくなるでしょう。また、具体的な期日や数字の目標を立てておくこともおすすめです。達成具合が明確になり、課題を抽出しやすくなります。

進捗確認

目標に向けて行動しながら目標に対する達成具合を、定期的に面談を通して確認しましょう。上司がアドバイスするのはもちろんのこと、従業員自身が個人の動きを振り返る時間にすることが大切です。従業員の行動や結果をみて、適切な対策を上司が一緒に考える必要も出てくるでしょう。

評価

目標達成までの期間における進捗具合や、結果をベースに評価する時間も必要です。また従業員に自己評価してもらう時間を設けることも大切です。目標を達成できた場合もできなかった場合も、なぜそうなったかを従業員と上司が一緒になって考える必要があります。評価段階で導き出した課題や解決策は、次回の評価までの行動指標になるでしょう。

MBOを導入するメリット・デメリット

目標達成までの道筋が明確になるMBOにはメリットもあればデメリットも当然存在します。ここでは、MBOの導入におけるメリット・デメリットを解説します。

MBOのメリット

MBOの導入には、主に以下のメリットがあります。

  • 従業員の自己管理能力がアップする
  • 個人・チームの目標を統一できる
  • 指標が明確になるためモチベーションが向上する
  • 意識改革に基づき、従業員のスキルが向上する
  • 実際の達成具合にあわせた振り返り・課題創出が可能

MBOの導入を検討している企業は、上記のメリットと自社の課題を照らし合わせたうえで本当に実施すべきか判断しましょう。

MBOのデメリット

MBOを導入する際は、以下のデメリットがあることも頭に入れておきましょう。

  • 従業員個人で自由に目標を決められるわけではない(あくまで会社との意思疎通が重要)
  • 数字での目標管理が一般的のため、プレッシャーになりやすい
  • 達成に重きを置いて、精度の低い目標を立ててしまう可能性がある
  • 個人の目標達成に意識が向いて、チームワークが疎かになる

MBOの導入には上記のデメリットがあることを理解し、フォロー体制を整えておくことをおすすめします。

MBOの導入に関する注意点

ここでは、MBOを導入するうえで重要な以下の注意点について解説します。

  • 明確な達成基準を設定する
  • モチベーションへの影響を考慮する
  • プロセスの評価も忘れない
  • 自主性の重視を前提にする

上記はMBOの導入を成功させるために重要な観点であるため、必ず押さえておきましょう。

明確な達成基準を設定する

「ミスをなくす」「〜できるように努める」程度の目標では、主観的な評価にしかなりません。「〜日までに達成する」「〜月までに〜を会得する」など、その後の評価も明確になるような達成基準を設定してください。

モチベーションへの影響を考慮する

従業員個人が自身のスキルをみて目標を設定することも大切ですが、より向上心が芽生える目標を上司が考えることも大切です。ただし、身の丈に合わない目標を立てることは避けましょう。達成が現実的で、かつ努力することに前向きになれる目標を立ててください。

プロセスの評価も忘れない

目標達成は、あくまで結果が重視されます。しかし、目標達成までのプロセスにも、評価すべきポイントは存在します。結果がどうであれ、プロセスの評価も怠らないことで、従業員のモチベーションはアップするでしょう。

自主性の重視を前提にする

MBOはあくまで、従業員の自主性が重視される制度です。従業員自身が意志を持って設定していない目標では、達成への熱意が芽生えません。プロセスや結果も評価しづらいため、企業にとってもデメリットです。従業員が自ら立てた目標を、上司が詰めていくといったイメージでMBOを導入しましょう。

まとめ

MBOは、従業員の自主性を重視した目標達成につながる重要な施策です。従業員のモチベーションアップにつながる施策でもあるため、多くの企業で取り入れられていますが、実際に導入する際は、メリット・デメリットを把握して、本当に導入すべきか判断しましょう。特に自社の目標を全社一丸となって達成する環境が整っていない企業は、ぜひ導入を検討してください。

監修者・中田 潤一

中田 潤一

株式会社キーエンス株入社後、サントリー株式会社→アリババ株式会社→株式会社リクルート住まいカンパニー リクルート在籍時に株式会社Izulを立ち上げ、現在に至る。株式会社Izulを含め4社の代表取締役を勤める。スキルシェアサービス「タイムチケット」では就職・転職カテゴリーで46ヶ月連続1位獲得、年間アワードを3年連続受賞。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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