ゼネラルマネージャーは、経営や企業戦略に深く関わるマネージャー職です。日本企業と外資系企業ではゼネラルマネージャーの役割が若干異なることも含め、基礎知識や求められるスキルなどについて理解しておくことが大切です。
この記事では、ゼネラルマネージャーの業務内容や役割、シニアマネージャーやCEO・COOとの違い、必要なスキルなどについて詳しく解説します。
ゼネラルマネージャーとは
ゼネラルマネージャーとは、経営や企業戦略に深く関係するマネージャー職のことです。日本企業においては部長や支店長などが該当しますが、海外や外資系企業ではより重要なポジションの人物を指す傾向があります。
シニアマネージャーやCEO・COOとの違いについては、次の通りです。
シニアマネージャーとの違い
シニアマネージャーは、課長よりも上位の部長代理や次長などを指す役職です。ゼネラルマネージャーよりも下位の役職であり、部門や課などの特定の領域における管理責任を持ちます。一方ゼネラルマネージャーは、組織や経営に関する決定権を持つ役職です。
CEO・COOとの違い
CEOは企業の最高経営責任者であり、経営方針の決定や戦略の策定など、全体的な経営に関わる役割を担います。社長とCEOは厳密には異なりますが、日本では兼任することが一般的です。
COOは最高執行責任者であり、CEOの指示に基づいて日々の業務を実行し、組織を運営します。ゼネラルマネージャーは企業の上層部に属する職位ですが、CEOやCOOよりも下位に位置し、経営に対する責任や決定権、範囲も限定的です。
ゼネラルマネージャーの役割
ゼネラルマネージャーは、組織・企業と現場の従業員をつなぐことで、円滑な組織運営を促す役割を担います。役割について具体的に見ていきましょう。
企業戦略の策定
ゼネラルマネージャーは、経営トップ層が定めた経営方針や戦略を具体的な事業計画に落とし込み、実行します。アメリカにおいては、業界の動向や顧客のニーズ、競合他社の動きなどの情報を分析し、経営陣と協力して戦略を立てる場合もあります。
一方日本では、各部署の管理職を統括する上位管理者として位置づけられることが多く、アメリカと比べて経営トップ層との距離が遠いことが特徴です。
資源の配分と動員
ゼネラルマネージャーは、事業計画の実行に必要な人員や経営資金などのリソースを適切に配分する役割を担います。また、設備投資の判断や収益性の低い部門やプロジェクトの削減など、利益を最大化するための戦略的な判断が求められます。ただし企業によって異なるものの、一般的にはゼネラルマネージャーの独断で設備投資や部門の削減などを決めることはできません。
職場環境と企業文化の形成
ゼネラルマネージャーは、経営方針に沿った職場環境と企業文化の形成において重要な役割を果たします。経営方針に沿った価値観や行動基準を明確化したうえで従業員に共有し、従業員と企業が同じ方向を向いて業務を遂行できるように、意識や行動の統一を促します。
また、従業員が働きやすい環境を整備することもゼネラルマネージャーの役割のひとつです。職場環境と企業文化の形成は、従業員の働きやすさや満足度に直結し、生産性や組織のパフォーマンス向上につながります。
業務活動の監督
ゼネラルマネージャーは、事業計画に沿って業務が進むように業務活動の監督を行います。業務における問題や改善点を見つけ、早期に対応することで業務の円滑化を図ります。
また、現場の従業員の働きぶりや業務の進捗状況を観察し、定期的なヒアリングを通じて情報を収集したうえで、人員配置や業務量の妥当性、品質管理などが適切に機能しているかなど判断することも重要な役割のひとつです。このように広範な業務を遂行するために、各部署に足を運んで多くの従業員のデータを集めて分析しなければなりません。
ゼネラルマネージャーに求められるスキル
ゼネラルマネージャーとして活躍するためには、経営者の視点を持つとともに従業員の能力を見極める能力が必要です。ここからは、ゼネラルマネージャーに求められるスキルについて詳しく見ていきましょう。
経営者としての視点
ゼネラルマネージャーには、経営者としての視点と心構えが求められます。組織全体や市場環境、競合他社などを総合的に把握し、事業計画やリソースの配分において戦略的な判断を下す必要があるためです。ただしこれは外資系企業やアメリカなどの企業のことであり、日本企業においては経営方針を噛み砕いて従業員に伝え、同じ方向を向いて業務を遂行できるようにすることが重要です。
そのため外資系企業やアメリカなどの企業と比べて、経営者の視点を持つことはそれほど求められないでしょう。
従業員の能力を見極める力
ゼネラルマネージャーは適材適所の人材配置を行うことが業務のため、従業員の能力を正しく見極める力が求められます。従業員とのコミュニケーションを通じて、従業員の実力や仕事への取り組み方、関心や意欲などを観察し、能力を客観的に評価する必要があります。
的確なフィードバックを行う能力
ゼネラルマネージャーは、従業員の成長とパフォーマンス向上のために的確なフィードバックを行う必要があります。フィードバックでは、従業員の成果や課題などを明確に示したうえで、具体的にアドバイスすることが重要です。
なぜできないのか、どのような業務ならできるのかなどを見極めたうえで、従業員の性格や考え方まで考慮して正しいフィードバックの方法を模索しなければなりません。
他部署間をまとめる調整力
ゼネラルマネージャーは、経営戦略の実行と企業の利益向上のために、複数の部署間の連携と調整を図る能力が求められます。部署間の情報共有や意思決定プロセスの調整を行い、各部署が目標に向かって連携し、協力して取り組むことができるように促します。
その際は、部署ごとに異なる視点やニーズを理解し、バランスを取ることが重要です。いわゆる板挟みの状態になりやすいため、高いストレス耐性も求められるでしょう。
リーダーシップ
ゼネラルマネージャーは組織を統率して戦略を実行する役割を果たすため、リーダーシップ力が必要です。企業のビジョンや目標を周囲に明確に伝えるために、論理的に考えをまとめて、わかりやすく説明するスキルや相手の意見やフィードバックを受け入れる姿勢が欠かせません。また、チームメンバーや他部署との円滑なコミュニケーションにより、信頼関係を築くことも重要です。
まとめ
ゼネラルマネージャーは、経営層の考えや事業計画などを従業員に共有し、組織と同じ方向を向いて業務を遂行できるように促す役割を持ちます。そのため、経営層に近い考え方や視点、コミュニケーション能力、リーダーシップなどが欠かせません。ゼネラルマネージャーになりたいと考えている方は、この記事で解説した内容を参考にスキルアップや転職などを検討しましょう。
