インフラエンジニアとは、普段何気なく使用しているインターネットのサーバーなどを取り扱う仕事です。名称として耳にしたことはあっても、実際の仕事内容などは詳しく知らないという人も多いでしょう。
今回は、インフラエンジニアという仕事の詳細について詳しく解説します。インフラエンジニアに必要なスキルや魅力、デメリットや適性なども解説しているので、未経験からインフラエンジニアを目指す人もぜひ参考にしてください。
インフラエンジニアとは
サーバーやネットワークといった、ITサービスの拡大に必要なインフラに関わる仕事のことをインフラエンジニアといいます。AIやIoT、ビッグデータやクラウドの取り扱いにおける変化により、昨今のIT業界には大きな変化が表れました。日々進化する新しい技術を支える存在として、インフラエンジニアは非常に重要な役割をもっています。
そもそもインフラってどんなもの?
「インフラストラクチャー」の略称であるインフラとは、日本語で「土台」「下部構造」という意味合いをもつ言葉です。ITのみに該当する言葉ではなく、ガスや水道、電気といったライフラインもインフラに該当します。
土台や下部構造の意味合いをITに置き換える場合、情報の伝達や加工、補完を担う「サーバー」がインフラにあたります。また、サーバーとユーザー間がやり取りする導線である「ネットワーク」も、ITにおけるインフラの一種です。
インフラエンジニアの種類
インフラエンジニアは、以下の3種類に分類されます。
- サーバーエンジニア
- ネットワークエンジニア
- セキュリティエンジニア
先ほど触れたサーバーやネットワークといった、ITにおける土台それぞれに特化した種類があります。また、社内のネットワークをサイバー攻撃などから守るための、セキュリティ対策をメインに行うセキュリティエンジニアという種類があるのも特徴です。
システムエンジニアとの違い
いわゆるSEと呼ばれるシステムエンジニアとは、関わる「領域」に違いがあります。インフラエンジニアがサーバーやネットワークなどのインフラを専門とするのに対し、システムエンジニアはアプリやシステムなどの「開発」に関わるのが仕事です。
両者には関わる領域に明確な違いがあるものの、いずれの業務も密接に関係しています。そのため、インフラエンジニアとシステムエンジニアでタッグを組みながら進める案件も多いでしょう。
年収の傾向
2022年10月に発表された求人ボックスのデータによると、インフラエンジニアの平均年収は549万円でした。比較的高額の収入が期待できる仕事といえます。ただし、高収入を得るためには経験やスキルが重視されることも認識しておきましょう。
引用:インフラエンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)
インフラエンジニアの仕事内容
ここでは、インフラエンジニアの主な仕事内容について解説します。
設計・構築
インフラエンジニアにおける設計は、いわゆる「要件定義」のことです。顧客はもちろん、自社のインフラに必要な機能・性能をヒアリングし、設計内容として反映させることが求められます。また、設計をもとにして実際にインフラを構築するのも、インフラエンジニアの仕事です。
監視
設計と構築を終えた段階で次の「運用」に進む場合もありますが、企業によっては設計と構築の段階で監視機能を組み込むこともあります。監視を設計と構築に組み込むことで、システムにおける不具合などを迅速かつ的確に感知し、サポートできます。
運用
構築までを終えたら、ソフトウェアのインストール・設置・動作チェック・負荷テストを実施して運用を開始します。インフラは24時間・365日稼働し続け、アップデートやトラブル発生時には対応が必要になります。運用における重要なポイントは、アップデートやトラブルが発生してもインフラとしての動きを止めない体制づくりを意識することです。
分析
運用までのフェーズにおいて発生した課題や顧客からの要望などをもとに、今後の運用に向けた分析を実施します。分析までの流れをPDCA化し、サイクルさせることでより高度なブラッシュアップを期待できるでしょう。
インフラエンジニアに求められるスキル
ここでは、インフラエンジニアを目指すうえで必要な主なスキルを紹介します。
プログラミングスキル
サーバーなどの自動処理に必要な、PowerShellやシェルスクリプトのパッチ系プログラムを活用できるスキルが必要です。プログラミングスキルがあると、アプリケーション上での動作不備などに対応しやすくなるでしょう。
セキュリティの知識
IT業界における情報漏洩や不正アクセスといった、さまざまな脅威に対抗できる知識も求められます。セキュリティ面を疎かにしてしまうと、企業はもちろんエンジニアとしての経歴にも打撃となるため、インフラエンジニアを目指すうえでは必須スキルです。
ネットワークの知識
インフラエンジニアのメイン領域であるネットワークの知識やスキルも、必要最低限保有しておくべきです。ネットワーク環境に不備があるだけでパフォーマンスのレベルが大きく低下するため、重要度の高い知識・スキルといえるでしょう。
サーバー・クラウドの知識
ネットワークの知識とあわせて、サーバーやクラウドの知識もあわせて身につけておきましょう。設計・構築といった基本業務における重要な観点です。また、バックアップやリカバリーなど、運用面でも求められる知識なので、必ず習得しておきたい知識です。
自発性・積極性
上司や顧客から言われたことのみではなく、自身の考えやスキルを活かそうとする自発性や積極性も重要です。自分で考えて行動できれば、開発や運用における戦力として評価されやすくなります。
インフラエンジニアの魅力
インフラエンジニアは、以下で紹介する4つのメリットが期待できる仕事です。
高い収入が見込める
平均年収が高い傾向にあるため、収入面での理想を実現しやすいのがインフラエンジニアの魅力です。ただし、ある程度の専門知識がないと、即戦力としては活躍できないため、高収入を目指す場合は経験を積み高度な技術を身につけましょう。
将来性がある
平均年収の観点だけでなく、IT業界の変化やIT人材の不足といった観点で、インフラエンジニアには将来性があります。今後もIT人材の需要は高まるとされているため、将来性の期待できる仕事といえるでしょう。
社会貢献度が高い
インフラエンジニアは、サーバーやネットワーク、セキュリティといったITを支える部分に関われる仕事です。そのため、社会的に求められている仕事といえます。社会に貢献できているというモチベーションで仕事ができるのは、大きな魅力です。
大規模な仕事に携われる
スキルや経験を積み重ねることで、個人では取り扱うことのないような規模の仕事に携われる可能性があります。仕事の規模が大きくなることで、収入・将来性・社会貢献度といったインフラエンジニアの魅力すべてがより輝くのも特徴です。
インフラエンジニアとして働くデメリットは?
魅力の豊富なインフラエンジニアという仕事ですが、いくつかデメリットもあります。
例えば、顧客のシステムに不具合が発生すると、休日でも対応に追われる可能性があります。サーバーやネットワークが稼働していない時間に対応することもあるため、必然的に夜勤が多くなるでしょう。トラブル対応時に、時間や手間がかかるのもインフラエンジニアの大変なところです。
転職の観点で見ると、近年では「未経験OK」「誰でもなれる」とアピールする求人も増えています。しかし実際には、すぐにインフラエンジニアの仕事を任せてもらえるわけではないケースもあります。そのため、仕事内容を事前に確認したうえで求人応募にアプローチするのが得策です。
インフラエンジニアに向いている人の特徴
インフラエンジニアになるうえでは、以下の適性に当てはまっているかが重要です。
- 好奇心旺盛
- コミュニケーション能力がある
- 小さな違和感に気づける
- 注意深い
- チームで仕事をするのが得意
- 予測・準備が好き
上記の適性に当てはまっている場合は、インフラエンジニアとしてのキャリアを現実的に考えても良いでしょう。
インフラエンジニアは未経験でも転職できる?
就業後に知識や経験を身につける大変さはあるものの、未経験でもインフラエンジニアになること自体は不可能ではありません。IT業界の変化や人材不足を理由に、未経験からスキルアップすることを前提にインフラエンジニアを募集する企業も増えています。
ただし、経験者に追いつけるよう努力し続けることが必須となるため、モチベーションが低い人は続けられないでしょう。未経験からインフラエンジニアになり、どのようなキャリアを形成したいか明確な目標を持つことが大切です。
また先ほども触れたように、未経験でも就業可能な求人には注意しましょう。インフラエンジニアとしてのやりがいや希望を失わないよう、詳細な仕事内容の事前確認はマストといえます。
まとめ
今回は、ITを支えるインフラエンジニアについて紹介しました。未経験でもなれるものの、サーバーやネットワークといったインフラの知識は最低限習得しておく必要があります。仕事内容も、インフラにおける重要性が高いため、責任感をもって取り組まなければなりません。
将来性があり、社会貢献度が高いといった魅力も多いため、今後も需要が高まるIT業界を担う人材になることも目標に、インフラエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。