収入を増やしたい、複数のスキルを習得したいなどを理由にダブルワークをしている方は少なくありません。新型コロナウイルスの影響で仕事が減ってしまい、収入が減少してしまった人も多いことでしょう。ダブルワークは収入面のリスクヘッジになるため、経済面の被害を抑えることにも役立ちます。その一方で、頑張って仕事をしすぎて体調を崩したりするリスクもあります。今回は、ダブルワークとは何か、副業や兼業との違い、メリット、注意点などについて解説します。
ダブルワークとは
ダブルワークとは、2つの仕事を掛け持ちする働き方のことです。ダブルワークをする理由は人それぞれですが、収入増加やスキルアップ、交友関係の拡大などさまざまなメリットがあります。それでは、ダブルワークと副業、兼業の違いについて詳しく解説します。
副業との違い
副業とは、本業とは別の仕事のことです。ダブルワークは2つの仕事のいずれもが本業ではありませんが、副業は本業の収入を副次的に補うサブの仕事を指します。例えば、日中に正社員として収入を得て、空き時間に別の仕事を行うケースは、ダブルワークではなく副業です。
兼業との違い
兼業とは、2つ以上の仕事を掛け持ちしている状態です。ダブルワークと同義と考えて問題ありませんが、3つ以上の仕事を掛け持ちしている場合はダブルワークとは言えません。また、副業も複数の仕事を掛け持ちしているため兼業と言えますが、副業は本業に対して使う時間が明らかに短いため、一般的には兼業とは言われていません。例えば、午前中に1つの仕事をこなし、午後に2つめの仕事を行う場合において、使う時間や労力が同程度であれば兼業と言えるでしょう。
ダブルワークの事例
ダブルワークは、どちらも本業ではないことが条件のため、アルバイトやフリーランスなど非正規雇用として働くことが一般的です。例えば、日中は飲食店のホールで働いて、夜はフリーランスのWebデザイナーとして働く例があります。フリーランスとして独立できるだけの収入を得られていない場合、日中のアルバイトで収入を補うケースは少なくありません。また、午前中は梱包の仕事、午後はクリニックの受付といった働き方もあります。両方のいずれもが本業でなければ組み合わせに制限はありません。
ダブルワークのメリット
ダブルワークを検討する際は、そのメリットを把握しましょう。ダブルワークには人によって、向き不向きがあるため、メリットよりもデメリットの方が大きいと感じる方もいます。まずは、ダブルワークのメリットから詳しく見ていきましょう。
収入が上がる可能性がある
ダブルワークは、自分で働く時間を決めたり引き受ける仕事を選ぶことができます。そのため、働き方次第では本業のみの人よりも収入が増える可能性があります。自分に合った仕事を最適なスケジュールで行える場合、精神的なストレスも和らぐでしょう。また、長時間働いたり、条件のよい仕事を中心に請け負ったりすることでより高収入を得ることも可能です。
スキルアップに繋がる
複数の仕事を同程度の時間をかけて行う場合、双方のスキルをバランスよく高めることができます。例えば、塾講師として人に教える力や学力を高めつつ、Webデザインやコンサルティングといった専門的なスキルを高めることも可能です。複数のスキルをバランスよく高めれば、いずれかの仕事を辞めざるを得なくなったとしても、スキルが評価されて高待遇の企業に転職できる可能性が高まります。スキルアップは収入減少のリスクヘッジになるでしょう。
交流の幅が広がる
職場が2ヵ所に増えれば、出会いの数も増えます。人間関係が広がると、そこで新たな仕事を紹介してもらったり、好待遇の企業への転職を打診されたりする可能性が高まります。また、仕事を通じて出会った友人と親睦を深めることで、精神的な安定に繋がるかもしれません。
ただし、フリーランスの場合は自宅で働くことが多いため、出会いが増えるとは限らないでしょう。出会いを増やしたい場合は、ダブルワークのすき間時間を使って社会人サークルに入るなどしてみてはいかがでしょうか。
収入面のリスクヘッジになる
企業の業績が悪化すると、リストラされる恐れがあります。1つの職場に依存すると、リストラによって収入がゼロになる危険があります。ダブルワークであれば、たとえ一社にリストラされても、もう1つの仕事が残るため、収入がゼロになることはありません。貯蓄をある程度切り崩すことになる可能性はありますが、経済的な被害を最小限に抑えられるでしょう。
ダブルワークの注意点
ダブルワークには、デメリットとなる注意点もいくつかあります。次のポイントを押さえて、自身にダブルワークが適しているかどうか考えましょう。
スケジュール管理能力が必須
複数の仕事をかけ持ちする場合、高いスケジュール管理能力が求められます。労働時間が長すぎたり稼働日数が多すぎたりすると、休みを取ることができなくなります。手帳やスケジュール管理アプリなどを駆使して、スケジューリングを徹底しましょう。
就業規則次第では行えない
会社の就業規則でダブルワークを禁止している場合があるため、事前に確認が必要です。ダブルワークは法律で禁止されていませんが、就業規則で禁止されている場合は従わざるを得ません。会社とトラブルになることを避けたいのであれば、就業規則でダブルワークが禁止されていない会社に転職しましょう。
無理な労働は避ける
「ダブルワークで多くの収入を得られて欲が出た」、「反対にダブルワークをしても収入が足りない」などの理由で、十分に休みを取ることができずに働き詰めになるケースがあります。その結果、心身に不調をきたして仕事の関係者に迷惑をかけたり、働けなくなったりしては元も子もありません。自身の健康を第一に考えて、ダブルワークの方法を決めましょう。
社会保険関係の手続きは自分で行う必要あり
ダブルワークでは、次の条件を満たす場合に社会保険に加入する必要があります。
- 雇用契約期間が1年以上になる見込みがある
- 週の所定労働時間が通常の労働者の4分3以上
- 週の所定労働時間が20時間以上、かつ月の賃金が88,000円以上
- 学生以外
2つの職場で社会保険に加入する場合は、保険料の按分が必要です。その際は、いずれかの職場に届出をする必要があります。手続きはすべて自分で行う必要があるため、忘れないようにしましょう。
まとめ
ダブルワークは、より多くの収入を得られる一方で、スケジューリングが難しく、無理して働くことで心身に不調をきたしやすいという注意点があります。一方、交友関係が広がったり複数のスキルを効率よく向上できたりするメリットがあります。今回解説した注意点も踏まえた上で、ダブルワークをするかどうかを考えましょう。