転職は今後のキャリアを左右する大きな決断です。キャリアアップを目指して転職したものの、聞いていた労働条件と異なっていたり、社風が合わなかったなどの理由で、転職に失敗するケースも少なくありません。この記事では、転職に失敗しないための対策や、よくある失敗パターンについて詳しく紹介します。
よくある転職の失敗例を4つのパターンで解説
転職に失敗する人には多くの共通点があります。転職エージェントへ相談される求職者の、転職に失敗したと感じた理由は、大きく4つに分類できます。ここでは、代表的な失敗パターンを解説します。それぞれの事例を確認して、当てはまる要素がないかチェックしてみましょう。
1.聞いていた労働条件とは異なっていた
勤務時間や仕事内容、福利厚生などの労働条件が、面接時に聞いた内容とは異なっていたために転職に失敗するケースがあります。求人情報や面接時に得た情報には認識の齟齬が発生する可能性があるので、入社前に実際に勤務している人の話を聞いたり、口コミを確認するなど、労働条件の認識にズレがないかを事前に確認することをおすすめします。また、入社前に貰える「労働条件通知書」と求人情報を照らし合わせ、労働条件に偽りや誤りがないかもチェックしましょう。
2.想定よりも活躍できなった
前職で培ったスキル・経験を活かせると感じて転職したものの、思うように活躍できず転職に失敗する場合もあります。同じ職種であっても、会社が変われば求められるスキルは当然異なります。自身が持つスキルと会社が求めるスキルがミスマッチすると自分の強みを活かし切れず、成果を上げにくい状況に陥ります。同じ職種・業務でも前職のスキルを活かせるとは限らないことを意識して、業界研究をしっかり行うことが大切です。
3.社風や労働環境が合わなかった
社風や労働環境のミスマッチも、転職によくある失敗例の一つです。例えば「和気あいあいとしたサークルのような雰囲気」といった社風と合わなかったり、ワンマン社長の権限に振り回されるなどの環境で疲弊することもあります。社風や考え方が違う職場では、業務上の意見が通りにくくなり、強いストレスを抱えることもあるため、面接時にしっかりと確認しておきましょう。
4.業務内容にギャップがあった
同じ業界・職種への転職だからといって業務内容を確認せずに転職してしまうと、後々大きなギャップを感じる可能性があります。その結果、自分の思い通りに業務を遂行できず、与えられたタスクを効率的にこなせない状況に陥ります。仕事が合わないことを理由に転職を繰り返す悪循環も生まれやすいので、業務内容については細かい部分までしっかりと理解しておく必要があります。
転職で失敗しやすい人の特徴
転職に失敗しやすい人は、目標設定や情報収集の甘さに原因がある場合がほとんどです。転職のミスマッチが多い方に共通する3つの特徴について詳しく見ていきましょう。
現状から逃げるために転職をしている
会社の社風や業務内容が合わないといった理由で逃げるように転職すると、失敗する可能性が高まります。少しの不満を解消するために転職した会社で新しい不満が生まれ、その不満を解消するために転職を繰り返すといった状況に発展しやすいからです。転職するときはキャリアアップやスキル習得を目指すなど、ポジティブな目標を設定したほうが成功率が高くなります。
転職することが目的になっている
「職場を変えたい」「違う業種で働きたい」など、仕事を辞める理由が漠然としていると、転職すること自体が目的になってしまいます。将来を見据えて行動できていない方は、転職に成功した時点で満足してしまいモチベーションを保てず、短期間のうちに転職を繰り返す状況になりやすいです。
転職先の情報収集が甘い
転職先の情報収集が甘いと、「聞いていた労働条件と違う」「想定よりも活躍できなかった」といった状況に陥りやすく、結果として次の転職先に目移りしてしまう方が多いです。転職の成否は事前の情報収集によって決まるといっても過言ではありません。開示情報にだけ目を向けるのではなく、面接時に自ら質問を投げかけるなど、質の高い会社情報を手に入れようとする努力が必要です。
転職で失敗しないための6つの対策
転職で失敗しないためには、以下で紹介する6つの対策を意識しつつ、試行錯誤しながら面接に臨む必要があります。転職活動における基本的な心構えやノウハウを押さえておきましょう。
1.自身が望むキャリアパスを明らかにする
転職のミスマッチを防ぐためにも、まずは自分が望むキャリアパスを明確にしましょう。キャリアパスとは、将来的に携わりたい仕事や役職までの道筋を具体的な目標に落とし込んだものです。目標達成までのロードマップを明確にすることで、必要なスキルや経験が可視化され、転職に失敗する可能性を減らせます。
2.求める労働条件を整理する
業務内容・勤務時間・福利厚生・年間休日など、求人情報には多くの項目がありますが、自分が希望する労働条件をすべて満たしている会社はまずありません。自分が求める労働条件を整理して、優先順位をつけることで転職の失敗を未然に防げます。必ず押さえておくべき項目は以下の通りです。
- 雇用開始日
- 働く場所と従事する仕事内容
- 始業・終業時刻
- 休日・休暇
- 賃金・諸経費
- 研修期間・試用期間
希望する転職先を調べる際に、これらの要素を競合他社や前職の条件と比較しておきましょう。
3.転職先の社風や労働環境を徹底的に調査する
転職を成功させるには、会社の社風を徹底的に調査して理解しておく必要があります。会社の意思決定は企業理念に基づいて判断される傾向にあり、社風も同じく影響を受けます。社風の調査には、求人情報はもちろんのこと、会社の公式サイトや社長メッセージ、企業理念、転職サイトの口コミ、SNS広報の発信など、あらゆる情報を参考にしましょう。また、事前に調査しておくと良い項目も紹介します。
- 仕事量や残業の有無
- 教育体制
- パワハラやセクハラの対処法
- 育児休暇取得の実績
情報収集をしっかりしていても、社風やコミュニケーションスタイルが合うかどうかについては判断が難しいものです。不安がある場合は転職エージェントを利用したり、同業種の知り合いなどに相談すると良いでしょう。
4.自己分析で自らの市場価値を見直す
転職活動を本格的に始める前に、自らの市場価値を改めて整理することも重要です。市場価値とは、ビジネスの現場や転職市場において、どれだけ需要がある人材かを表す指標のことです。自身の市場価値を見直すことで、今後のキャリアアップにおいて必要なスキルや経験を理解できます。また、市場価値が高いほど企業から評価されやすく、転職シーンで有利に働くことが多くなるでしょう。
5.失敗の原因を分析する
転職活動に失敗したときは、原因について細かく深堀りして分析しましょう。転職の失敗には必ず原因があります。「情報収集が足りなかった」「目標が曖昧だった」などの根本的な原因を突き止め、対策を立てなければなりません。自分の弱点やクセを把握し、次の転職活動に活かせるように努力しましょう。
6.転職エージェントに相談する
転職の失敗を防ぐ方法として、転職エージェントを活用するのもおすすめです。転職の失敗を回避するためには、しっかりとした情報収集と自己分析が大切です。転職エージェントでは、業界や職種に精通した専任のキャリアアドバイザーがついて、企業研究の相談や応募書類の添削、面接対策もサポートしてくれます。豊富な求人案件や会社の内部情報を把握する転職エージェントを利用することで、個人では得られないようなクローズド情報を得られるのも魅力です。転職のカウンセリングや客観的なフィードバックを受けることで、自分の市場価値を知るきっかけにもなるでしょう。一人での転職活動に不安を感じる方は、転職エージェントにぜひご相談ください。
転職に失敗した方からいただくよくある質問
ここでは、転職エージェントに数多く寄せられる相談の中で、転職に失敗した方からいただく質問を紹介します。これらを参考にすることで、万が一転職に失敗した場合の対策をしておきましょう。
失敗に気づいてすぐに再転職するのはNG?
転職後に「失敗した」と感じても、すぐに再転職するのはおすすめしません。在籍期間が短くなることで、再転職の際に不利になることが多いからです。履歴書を見た時点で、採用側は「またすぐ辞めてしまいそう」という印象を持つでしょう。また、働く環境の変化でストレスがかかり「失敗した」と感じてしまうケースの場合もあります。工夫次第で解決することも考えられるため、解決できないかを検討してみましょう。
ただし、心労やうつ病など心身への負担が深刻な場合は、再転職を検討するのもありです。
転職失敗後にすぐできる対策は?
転職後に「失敗した」と感じてしまったときにできる対策は5つ考えられます。
- 現状の何に不満があるのかを分析する
- 今の職場に慣れるまで時間がかかっているという気持ちを持って業務に臨む
- 身近な上司や周囲の人に相談し、どうすれば働きやすくなるかを模索する
- 今の職場で習得できるスキルを検討し、スキルアップなどの目的を明確にする
- 今の職場で解決しない場合は、以前の職場に戻るか、再転職すべきかを考える
これらを参考に自己分析し、できることを検討すると、再転職することになっても次回の失敗を防げるでしょう。
転職に失敗する根本原因は?
転職に失敗する根本原因として考えられるのは、自己分析が不十分なことです。
- 年収や労働環境など「家族のため」などと自分の希望とは違う内容を優先してしまった
- 「スキルが適しているのでは」と自分の思い込みで応募してしまった
- 転職先がなかなか決まらず、焦りから妥協して内定を承諾してしまった
目先の出来事や人の意見に振り回されることで軸の定まらない転職活動をしてしまうと、転職後に「失敗した」と感じやすくなります。自己分析をうまく進められない場合は、転職エージェントを利用してサポートしてもらうと良いでしょう。
転職に失敗した後に辞める時期は?
転職後1〜3ヵ月での再転職は期間が短すぎるため、たとえ前の会社に問題があったとしても「本人に問題がある」と見なされる恐れがあります。一般的に1年未満での退職は短いと捉えられるため、最低でも1年以上勤続してから再転職すると良いでしょう。
転職失敗で元の職場に出戻りするのはあり?
転職した職場では解決できない問題があり「以前の職場の方がよかった」と感じるならば、元の会社へ再雇用してもらう「出戻り」を検討するのも良いでしょう。出戻りであれば、職場の事情がわかっているため、即戦力として活躍できます。しかし、以前と同じ待遇になるとは限らず、歓迎されない可能性もあります。以前とは異なることがあり、ギャップを感じることも想定しておきましょう。
まとめ
今回は転職に失敗しない対策や、よくある失敗パターンについて紹介しました。事前準備なしで行う転職活動は、失敗につながる可能性がとても高いです。自分に合った会社を見つけるためにも、市場価値の見直しや求人情報の確認をしっかりと行い、転職の成功率を上げましょう。