「ブルーカラーってどんな仕事?」「ホワイトカラーとの違いって何?」と思うことはありませんか。ブルーカラーという言葉を耳にしたことがあっても、具体的な業種や待遇はよくわからない方もいるでしょう。
この記事では、ブルーカラーの業種や特徴、労働環境、ホワイトカラーとの違いについて解説します。ブルーカラーとホワイトカラー、双方の魅力や苦労するポイントが分かれば、就職・転職シーンにおいてより良い選択ができるようになります。ぜひ、最後まで読んで参考にしてください。
ブルーカラーとは
ブルーカラーとは、工場や建設といった現場で働く肉体労働者や生産現場の仕事を担当する作業員のことを指します。作業労働者の襟の色が青かったこと(blue coller)が名前の由来です。
ブルーカラーには、溶接作業などの高い技術が求められるものや、建築に必要な特殊車両の運転など、特別な知識や技能が必要になる仕事も含まれます。
ブルーカラーとホワイトカラーの違い
ブルーカラーとホワイトカラーの違いについて簡単に分類すると、ブルーカラーは「肉体労働」、ホワイトカラーは「頭脳労働」に分けられます。
ホワイトカラーはワイシャツなどの白い襟(white coller)が名前の由来になっています。スーツを着てオフィスで仕事をするビジネスパーソンなどがイメージしやすいでしょう。
プログラマーや医師など専門的な知識と技術が必要になる職種から、経理や事務職といった直接生産に関わらないデスクワーカーまで、幅広い職種が該当します。
ブルーカラーは差別用語?
「ブルーカラーという言葉は、差別用語ではないの?」と考えたことがあるかもしれません。
ブルーカラーは、もともとは作業員と監督者の区別をつけるために、色の違うシャツを着たことからできた言葉です。本来の言葉の意味に職業差別的な意味は含まれませんが、「学歴が低いから肉体労働しかできない」といった意味合いで使う人が中にはいるかもしれません。
現代のビジネスシーンで使われる機会は少ないものの、聞いた人が不快に感じる使い方は避けたほうが良いでしょう。
ブルーカラー以外の職種分類
ブルーカラー・ホワイトカラーなどはよく耳にする言葉かもしれませんが、近年は「○○カラー」と新しい職種に分類する言葉が増えています。
例えば、環境に関する仕事を意味する「グリーンカラー」や、人工知能・ITなどの最先端技術に携わる職種を指す「メタリックカラー」、ブルーカラーとホワイトカラーの特徴を併せ持つ「グレーカラー」などが代表的です。
ほかにも「ピンクカラー」や「オレンジカラー」など、さまざまな分類があります。
林業などの製造に携わっているときはブルーカラー、自然再生などの環境問題に関連した仕事のときはグリーンカラーに分類されるなど、異なる特色を併せ持つ業種もあり、はっきりと区別できなくなっている現状もあります。
ブルーカラーといわれる職種とは
ブルーカラーに分類される職種は、具体的には以下の6つです。肉体労働や直接生産に関わるものなど、日常生活にとって身近な職種が多く存在しています。
・建設業
・運輸業
・製造業
・サービス業
・農林水産業
・鉱業
建設業
建設業は土木作業と建築作業の2種類に分類され、土木作業は道路工事などの作業を、建築作業は家やビルを建築することを指します。建設業には多くの作業工程があり、人手が必要なうえに、それぞれの分野で専門知識や技術が必要になるケースもあります。
運輸業
運輸業は、トラックの運転手や配達ドライバーなどの職業が代表的です。荷物の積み下ろしや各配達先への運搬に携わります。また、物の運搬だけでなく、電車やバスなどの旅客運転手も運輸業の仕事に分類されます。
製造業
製造業は物の製造全般に携わる仕事です。自動車といった大型のものから電気ポットなどの小型家電まで、ありとあらゆる製造業が分類されます。組立作業や検品作業も製造業に含まれ、ライン作業のような単純なものから、溶接などの特殊技術が必要なものまで多岐に渡ります。
サービス業
サービス業は接客・販売スタッフのイメージが強いですが、自動車整備・修理工といった専門性が高い職種や、水道・ガス・電気などのインフラ業、清掃業などはブルーカラーに分類されます。
農林水産業
農林水産業は第一次産業と呼ばれており、農業・水産業・林業を指します。近年は機械化されている作業が増えているものの、依然として肉体労働や職人の技術が必要になる工程が多く、ブルーカラーに分類されています。
鉱業
鉱業は、金属類や石灰などの地中資源の採掘をする仕事です。採掘作業では特殊機械を扱うこともあり、専門知識やスキルが必要です。また、専門の機械類を修理・メンテナンスをする人も含まれます。
ブルーカラーに就職するメリット・デメリット
ブルーカラーの職種に就職しようか迷っている方もいるでしょう。一般的なホワイトカラーの職種と比較したメリット・デメリットについて、以下にまとめました。
メリット
ブルーカラーに就職するメリットは、以下の3点です。
・職種によっては残業が少ない
・固定の休みを取りやすい
・専門的なスキルが身に付きやすい
職種によっても差はありますが、ブルーカラーの職種は残業が少ない傾向にあります。特に製造業などのライン作業は、何時から何時までと就業時間が決まっています。
営業職や販売スタッフなどとは異なり、個人的な売上ノルマを設定されるケースがないため、自分の仕事が終わらずに残業を強いられるケースは少ないです。
また、仮に残業があったとしても、きちんと残業代が支給されるケースが多いでしょう。カレンダー通りに休めるので、プライベートと仕事の時間を分けやすいのも特徴です。
また、ブルーカラーの職種は現場で作業することが大半ですが、中には専門的な知識やスキルが身に付く仕事もあります。国家資格の取得などと絡めてスキルを伸ばせば、昇進・転職のタイミングで大手企業に勤められる可能性もあります。
デメリット
ブルーカラーのデメリットは、以下の2点です。
・給与は最初は高いが昇給しにくい
・体力仕事が多い
ブルーカラーは、いわゆる3K(キツイ・汚い・危険)と呼ばれる仕事をすることがあります。身体を酷使する割には昇進の機会が少ないこともあり、年齢を重ねるたびに仕事を続けることが辛くなりやすいです。夜勤や交代勤務の業種であれば、さらに疲れが蓄積されるでしょう。
また、ブルーカラーは給与が上がりにくいため、初任給がホワイトカラーより高くても、年数が経つうちにホワイトカラーの給与のほうが高くなる傾向があります。(参考:令和3年賃金構造基本統計調査)
ホワイトカラーの主な職種
ホワイトカラーは頭脳労働者といわれ、営業職・事務職・研究職・マーケティングなどのデスクワークが中心です。また、ITや医療分野などもホワイトカラーに含まれ、より専門的な知識や技術が求められます。
ホワイトカラーはオフィス・部署内でチームを組んで働くことが多いため、ある程度のコミュニケーションスキルが必要です。また、ブルーカラーよりもパソコンやスマホに触れる機会が多いので、最低限のITスキルと教養が必要になります。
ブルーカラーとホワイトカラーの待遇の違い
ブルーカラーとホワイトカラーでは、給与や働き方にどのような違いがあるのでしょうか。「年収」と「労働環境」の2点について解説します。
年収
ブルーカラーとホワイトカラーの年収(月収)を、以下の表にまとめました。
ブルーカラー(製造業) | ホワイトカラー(金融業・保険業) | |
初任給(~19歳) | 年収:約218万円(月収:約18万円) | 年収:約211万円(月収:約17万) |
30歳~34歳の年収 | 年収:約312万円(月収:約26万円) | 年収:約396万円(月収:約33万円) |
(参考:令和3年賃金構造基本統計調査)
上記の表をご覧ください。ブルーカラーを製造業、ホワイトカラーを金融業・保険業として、月収と年収(ボーナスは除く)を比較しています。
前の項目でお伝えしたように、ブルーカラーの初任給はホワイトカラーよりも高くなっていますが、30歳~34歳には年収の高さは逆転しています。
もちろん、変化の早い現代では職種や会社規模によって大きく状況は異なりますが、全体的な傾向としてブルーカラーは月収が上がりにくい傾向があります。
労働環境
ブルーカラーは重労働なので身体的な疲労が溜まりますが、ホワイトカラーの仕事と比べて人と接する時間が少なく、人間関係の悩みが発生しにくいのが特徴です。人と接するのが苦手な方や、マイペースで仕事を進めたい方にとってはストレスを感じにくくなります。
一方、ホワイトカラーの労働環境はデスクワークが中心なので、人間関係のストレスや個人ノルマの重圧、上司・部下との人付き合いなど、精神的な負担を感じやすいです。
また、労働時間よりも成果を重視される傾向が強いため、ノルマを達成できない場合は長時間労働を強いられるケースがあります。労働環境の悪化により、過労や精神疾患を引き起こすケースもあります。
まとめ
この記事では、ブルーカラーの職種と仕事の特徴を紹介しました。ブルーカラーはカレンダー通りの休みになることが多く、残業も少ないためプライベートの時間を取りやすいことがメリットです。
しかし、昇給・昇進が見込めない職種もあるため、年数が経てばホワイトカラーの年収のほうが高くなる傾向があります。双方のメリット・デメリットをしっかりと認識したうえで、自分にあった職種への就職・転職を目指しましょう。