商材は、無形商材と有形商材に分かれています。無形商材は有形商材と売り方のポイントが異なるうえ、課題も複雑です。営業を成功させたいのであれば、無形商材の課題を解決しつつ売り方のコツを押さえましょう。今回は、無形商材と有形商材の違いや課題、営業を成功させるコツについて解説します。
無形商材とは
無形商材とは、形のない商材のことです。例えば、以下の商材が該当します。
- システム
- ITツール
- Web広告
- 人材紹介
- コンサルティング
- 保険
行動・知識の共有・目に見えないシステムの導入などの「サービス」を提供するのが一般的な無形商材の概念です。
無形商材と有形商材の違い
無形商材が形のない商材であるのに対し、有形商材は形のある商材です。衣類や日用品、食料品や家電・家具、不動産や車などが該当します。無形商材と有形商材はどちらも身の回りに多く存在しており、生活を成り立たせるものであるため常に一定の需要があります。
ただし、ターゲットのニーズを押さえていない商材は、売ることは難しいでしょう。
無形商材を取り扱う際の課題
無形商材の課題は、顧客にとっての価値がわかりづらいことです。実物が目の前にあれば、品質を確認したうえで購入の有無を決められます。しかし、実物がない無形商材は、実際に購入しなければ品質がわかりません。そのため、無形商材の多くはトライアルを取り入れています。
有形商材は、対価を受け取って商品を渡せば契約が完了します。しかし、無形商材は月額や年額の会費を継続的に受け取るため、入金や管理にコストがかかる点が課題です。問題なく入金されているかどうかを確認し、必要に応じて消費者に問い合わせることになるため、時間と労力がかかるでしょう。
無形商材ビジネスを成功に導く方法
無形商材の特徴を理解したうえで、営業方法を最適化することでビジネスの成功につながります。ここでは、無形商材ビジネスを成功に導く方法について解説します。
購入する価値をユーザーに伝える
無形商材は、実際に使用しなければ品質や魅力を感じることができません。そのため、消費者に無形商材の特徴や購入するメリットなどをわかりやすく伝える必要があります。ただし、どれだけわかりやすく伝えても、実際に使用しなければメリットは理解しきれません。まずは利用してもらうことを目標に、トライアル期間や試し価格を設定しましょう。
シンプルでわかりやすいサービスを作る
複雑な構造の無形商材は消費者に魅力が伝わりにくいため、なるべくシンプルでわかりやすいサービスを作りましょう。機能を充実させたい場合は、オプションを用意し必要な消費者だけが購入できるようにします。そうすれば、消費者としても自身が必要な機能だけを利用できるため、余計な費用をかけずに購入意欲を高めることができます。
なお、シンプルでわかりやすいサービスを作るだけでは、利益を獲得し続けることは困難です。購入者の声をサービス改善に取り入れ、ターゲットのニーズをより的確に満たす無形商材へとアップデートさせましょう。
無形商材ビジネスを伸ばすためのコツ
無形商材ビジネスに成功したと思っていても、競合が有力な無形商材を市場に投入してくるため、売上が頭打ちになるケースもあるでしょう。ここでは、無形商材ビジネスを伸ばすうえで理解しておきたいコツを紹介します。
課題を明確化する
購入者のニーズを満たすのはもちろん、満足度が高いサービスを提供することが大切です。そのためには購入者の課題を明確化し、根本の目的に沿ったサービスを提供する必要があります。例えば、経理業務を効率化するツールの場合、サービスを購入する人の目的は単にツールを導入することではありません。ツールを導入して経理業務を効率化することが目的です。
そのため、購入者の経理業務における課題を明確にしたうえで、課題を解決できるようにカスタマイズしたりオプションを提案したりする必要があります。
注目度が高まる企画を立案する
注目度が高まりやすい無形商材は、営業をかけなくても販売につながります。営業しなければ売れないサービスは、人件費や諸経費を加味すると利益の伸びが悪く、安定するまでに時間がかかるでしょう。注目度が高まる企画の条件は次の通りです。
- これまでにない画期的な機能
- 他社の製品・サービスに負けない点が1つはある
- 世の動向や流行に沿っている
満たしている条件が多くなればなるほど、注目度が高まりやすくなるでしょう。
顧客フォローを徹底する
顧客フォローを徹底し、顧客満足度を高めることで継続購入につながりやすくなります。継続購入がない場合、営業や新規相談への対応にリソースを割く必要があります。効率的に利益率を伸ばすには、顧客による継続購入を主軸に売上を増やすことが重要です。
顧客フォローの方法には、以下が挙げられます。
- 成果が出ていない場合はカスタマイズを提案する
- 質問に的確に回答する
- 困ったことはないか定期的に質問する
上記を理解したうえで、より適切かつ確実な顧客フォローを実施しましょう。
無形商材を扱う営業職の仕事内容
無形商材を扱うのは、広告・メディア業界や人材業界、IT業界、保険業界などです。各業界の無形商材を扱う営業職の仕事内容について詳しく解説します。
広告・メディア業界
広告・メディア業界では、Web広告やホームページ作製などの無形商材を取り扱います。購入者の目的は自社の知名度向上、商品やサービスの売上アップです。そのため、購入者の目的を実現できるようなサービスを提供しなければなりません。商品やサービスの魅力や世間に与えたいイメージなどを入念にヒアリングし、サービスに落とし込みましょう。
人材業界
人材業界には、人材紹介・派遣のほか、求職者に最適な職場を紹介する転職エージェントなどのサービスがあります。いずれも業務内容や企業風土、諸条件などに合った人物を企業に紹介するのが特徴です。人材業界における無形商材ビジネスの成功は、企業と求職者の両方にヒアリングし、マッチングさせることで実現します。
IT業界
IT業界では、ITシステムやツールを取り扱います。顧客の状況をヒアリングしたうえでカスタマイズする必要があるため、課題発見力が求められます。また、導入後のアフターフォローやメンテナンスの案内も必要です。そのため、提案力やシステムエンジニア・Webデザイナーとのコミュニケーション能力も欠かせません。
保険業界
保険業界の営業は、将来起こりうるリスクに備えるための保険商材を取り扱います。一般的に、生命保険・学資保険など人に対する保険は「第一分野」、車・家・製品などに対する損害保険は「第二分野」、医療・介護・がんなどに関わる医療保険は「第三分野」と、それぞれ分類されています。個人と法人どちらに販売するかは、扱う保険の種類によって異なります。いずれの保険にせよ、自社の保険に入るメリットや他社と比較した魅力などを的確に伝える営業力が必要になります。
無形商材の営業で身につくスキル
無形商材は文字通り、形がない商品・サービスです。実際の製品を見せて魅力や性能を確かめてもらうことができないので、言葉だけで商材をより魅力的にアピールするスキルが身に付くでしょう。また、顧客をきちんと納得させないと購入には至らないため、「商材を買うことでどのようなメリットを得られるのか」をイメージさせる提案力・営業力も磨かれます。
扱う商材によっては他社のサービスと比較したメリット訴求も必要になるため、市場調査のスキルや分析力も高まります。商材の形に捉われず、魅力や利点を見つけ出す能力も高くなるでしょう。無形商材の営業で得た知見や能力は、異業種への転職においても役立つ汎用性の高いスキルです。
まとめ
無形商材は目に見えない商材のため、いかに相手に魅力を伝えられるかがポイントです。ITシステムやツール、Web広告やホームページ制作など、商材によって営業方法は異なります。しかし、いずれも課題発見力や企画力、提案力やコミュニケーション能力が欠かせない点は共通しています。効率的に売上を伸ばすため、シンプルでわかりやすく注目度が高まりやすい無形商材を作りましょう。