転職活動を続ける中でさまざまな求人情報を見ていると、総合職という職種を目にすることがあります。総合職という仕事の内容について、はっきりとイメージできないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、総合職と一般職の違い、それぞれの適性やキャリアチェンジの可能性について詳しく解説します。
総合職とは
総合職とは、その名の通り総合的な能力が必要とされる職種です。社内の中心的なポジションを担い、業務内容は多岐にわたります。主に「事務系総合職」と「技術系総合職」の2つに分けられるのが特徴です。「事務系総合職」では人事・総務・法務・経理といった、会社における縁の下の力持ちのような役割を担当します。「技術系総合職」に多いのは、研究・開発・設計・生産など理系の知見が求められる分野です。
一般職とは
総合職とよく比較される職種が「一般職」です。一般職は主に総合職の業務をサポートする役割であり、事務仕事を担当します。具体的な業務内容は配属される部署によって異なりますが、書類作成やデータ入力、電話・来客対応などです。
総合職と一般職との違い
総合職と一般職には、仕事内容や待遇など多くの違いがあります。人によって理想とする働き方は異なる場合があるので、まずはそれぞれの特徴を把握しておきましょう。
業務内容
企業運営の根幹を担う総合職は、担当する業務もさまざまです。将来は管理職として会社を支える働きを期待されています。幹部候補として、社内の幅広い業務を経験する場合が多いでしょう。一方、一般職の場合は先述の通り、総合職の業務を補佐する役割を担います。仕事の範囲は総合職ほど広くはありませんが、正確な事務処理能力などを求められることが一般的です。
研修制度
総合職では幅広い業務をこなすため、充実した研修制度が用意される傾向にあります。これまで経験したことのない業務に携わる機会も多いため、スキルや知識を習得するためにも研修は欠かせません。一般職の場合も研修で業務上必要なスキルを学びますが、総合職よりも業務範囲が広くない分、受ける研修のジャンルも限られるでしょう。
基本給
総合職の基本給は、一般職よりも高い傾向にあります。経験する仕事の範囲が幅広く将来も期待されているため、一般職との給与には差がつけられます。勤務年数が長くなると、給与額の差はさらに大きくなるでしょう。応募の際には求人票の額面だけでなく、将来性も含めて検討することをおすすめします。
異動・転勤の有無
総合職の場合、先述の通りさまざまな業務を経験していきます。企業が多くの経験を積ませたいと考える以上、部署異動や転勤も多くなる可能性が高いでしょう。しかしその分、加速度的な成長が期待できます。
一般職の場合は事務作業などで総合職をバックアップすることが求められるため、異動や転勤を命じられることは少ないといえます。同じ仕事を長く続けることで適切なサポート能力が身につくでしょう。
昇進の早さ
総合職は、昇進に繋がるチャンスを多く得られます。幹部候補として、仕事の成果や取り組む姿勢を評価されてキャリアアップを重ねるケースも少なくありません。しかし一般職では、早い昇進はなかなか望めないでしょう。仕事の範囲は総合職よりも限られ、一人ひとりの働きぶりを評価することも難しいのが実情です。総合職と同じようなペースでの昇進は考えにくいようです。
総合職と一般職それぞれの適性
ここまで総合職と一般職の違いについて紹介しましたが、異なる特徴がある分それぞれの職種に向いている人のタイプも異なります。総合職と一般職の適性について解説しますので、仕事選びの参考にしてみてください。
総合職に向いている人
総合職に向いている人の特徴として、次の5つが挙げられます。
- キャリアアップや高収入を目指したい
- コミュニケーション能力に長けている
- リーダーシップがある
- プレッシャーに強い
- どんどん挑戦していきたい
積極性が高く、周りを巻き込みながらグイグイ進んでいくタイプの方が総合職に向いているといえるでしょう。
一般職に向いている人
一方で、一般職に向いている人の特徴はこちらの5つです。
- 仕事とプライベートの両立を図りたい
- 黙々と業務に取り組むことが好き
- 細かな作業が得意
- 誰かをサポートしたい
- 転勤や異動を望まない
仕事のやりがいや派手さよりも、私生活を重視しながら腰を据えて仕事をこなしたい方は一般職に向いているといえます。
総合職と一般職で迷ったときの判断基準
総合職と一般職の特徴は大きく異なるため、向いている人のタイプも正反対だといえます。一方で、自分の適性がまだわからず、転職時にどちらの職種を選ぶべきか迷うこともあるかもしれません。ここでは、総合職と一般職で迷ったときの判断基準について紹介します。
仕事に求めるものを考える
転職を考え始めたきっかけを思い出すと、何らかの不満や将来への想いがあったのではないでしょうか。そのような、あなたが仕事に求める条件を今一度整理してみましょう。「もっとチャレンジできる環境でキャリアアップを目指したい」という方は、総合職を目指してみるべきです。「転勤はしたくない」「プライベートや趣味にもっと時間をかけたい」という場合は、一般職の方が理想の働き方を実現できるでしょう。
採用方法の違いに注意する
総合職と一般職の選考時期が異なる企業も多いため、注意が必要です。先に総合職を選考しておき、一段落した後に一般職の選考を始めることもよくあります。「総合職に申し込もうと思っていたのに、もう一般職の募集しか行っていない」といった事態にならないように、企業の採用スケジュールはこまめにチェックしておきましょう。
エリア総合職という選択肢もある
総合職と一般職の明確な違いをお伝えしてきましたが、近年は「エリア総合職」という働き方も増えています。一般的な総合職とはどのような違いがあるのでしょうか。
エリア総合職とは
エリア総合職は、「勤務する場所を限定した総合職」という意味合いです。「地域限定総合職」や「地域総合職」という呼び方をする企業もあります。多種多様な業務を経験する総合職の特徴と、転勤や異動がないという一般職の特徴を組み合わせた職種といえます。
エリア総合職が設けられている理由
なぜ、エリア総合職という働き方が設けられるようになったのでしょうか。その理由は、時代背景による要因が大きいでしょう。人口減少や少子高齢化が進む現代において、働き手の数は年々減り続けています。総合職の特徴でもある転勤がネックとなり、介護や育児などの事情から総合職への応募を諦めている人も多く存在します。エリア総合職として働くことで、将来的な転勤の可能性に悩むことなくやりがいのある仕事に打ち込むことができます。企業にとってもこれまで総合職に応募できなかった優秀な人材を確保できるため、お互いにとってメリットが多い働き方を実現できます。
エリア総合職に向いている人
エリア総合職に向いている人の特徴として、次の3点が挙げられます。
- 転勤できない事情がある人
- 総合職と同等のキャリアアップや高収入を目指す人
- 地域を発展させるために働きたい人
総合職のように積極的に挑戦しながら、一般職のように腰を据えて仕事に取り組むことができます。このような条件を希望する方にマッチした職業ではないでしょうか。
将来的にキャリアチェンジも可能
「自分にはこの職種が向いている」と思って応募したものの、いざ働いてみると業務内容や条件の違いからキャリアアップを考えるケースもあるかもしれません。そういった場合は入社後に職種を変更できる可能性もあります。ただし、会社によって条件は異なるほか、キャリアチェンジが難しいこともあるのが実情です。
総合職から一般職へ変更するのは、そこまで困難ではありません。例えば家庭の事情で転勤が難しくなった場合など、やむを得ない事情でキャリアチェンジを望むこともあるでしょう。総合職を経験したからこそ、一般職として的確なサポート業務をこなせるかもしれません。
一方、一般職から総合職の場合は、求められる能力やスキル、担当する業務の種類も大きく増えることになります。そのため、キャリアチェンジは簡単なものではありません。即戦力としての働きも求められるため、かなりハードルの高い変更だといえます。
まとめ
今回は、総合職と一般職との違いやそれぞれの適性、選ぶ際のポイントなどについて紹介しました。総合職と一般職には、業務内容や待遇など大きな違いがあることをおわかりいただけたのではないでしょうか。最近では総合職と一般職の特徴を兼ね備えたエリア総合職という働き方も存在しています。理想の働き方を実現できるように、まずは自分のキャリアプランをしっかりと考えてみてはいかがでしょうか。