自社のビジネスモデルをどのように作成すべきか、悩んではいませんか?「事業を立ち上げる時の参考」というイメージのあるビジネスモデルですが、自社の事業を見つめ直す指標としても活用できます。ビジネスモデルにはさまざまな種類があり、作成方法も異なるため実践には事前にある程度の知識を蓄えておく必要があるでしょう。そこで今回は、最適なビジネスモデルを作成するための方法について紹介します。
ビジネスモデルとは
ビジネスモデルとは、自社の事業で利益を生み出すために作成する、企業の根幹となる仕組みです。既存事業の継続や、企業としての価値やネームバリューを向上させるためにも有効活用されます。自社がどのような事業を立ち上げ、進めていくかという指標としてはもちろん、事業のターゲット設定にも役立つでしょう。ビジネスモデルを設定・採用することは、企業にとっての「資産」を生み出すことに相当します。
ビジネスモデルの主な種類
一般的なビジネスモデルとして挙げられる4つの主要モデルを、以下にまとめています。
ビジネスモデルの種類 | 概要 |
---|---|
B2Bモデル | ・企業間取引 ・自社のサービスを他社に販売することなどが該当 |
B2Cモデル | ・企業対消費者間取引 ・顧客に商品やサービスを提供する形態 ・実店舗やEコマース(ネット通販などの電子商取引)が該当 |
C2Bモデル | ・消費者対企業間取引 ・インフルエンサーが自分で作成したサービスを販売することなどが該当 |
C2Cモデル | ・消費者間取引 ・マーケットプレイスなどオンライン上での取引が該当 |
自社に適したビジネスモデルがどのようなタイプか、上記を参考に考案してください。
ビジネスモデルで利益を生み出す仕組み
利益を生み出すビジネスモデルは、以下で述べる3つの条件を満たしていることが特徴です。
ひとつ目に挙げられるのは、検討したビジネスモデルが現実的かどうかという「実現可能性」の観点です。施策自体が優れていても、自社や顧客にとって魅力的なものでなければ、利益にはつながりません。
利益につながるという観点では、ふたつ目に挙げられる「持続可能性」も重要です。ビジネスとして成功するには、一度ではなく継続して利益を出し続ける必要があります。顧客満足度を満たしたうえで、安定した供給ができるかどうかを意識しましょう。
最後に挙げられるのは、作成したビジネスモデルがそもそも顧客にヒットするものかどうかという「有用性」の観点です。顧客のニーズを調査・把握したうえでビジネスモデルを作成しないことには、サービスの購買にはつながりません。
ビジネスモデルと利益を直結させるためには、実現可能性・持続可能性・有用性の3つすべてが備わっていることを重視してください。
コロナ禍におけるビジネスモデル
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ビジネスモデルへの考え方にも変化があらわれました。
コロナ禍を意識したビジネスモデルに重要なのは、「ニューノーマルを受け入れること」が挙げられるでしょう。ニューノーマルとは、従来「イレギュラー」だった手法が、あるきっかけで標準化することです。
実店舗でサービスを提供していた企業が、コロナ禍の影響で売上が下がったと仮定します。コロナ禍をきっかけに主流ではなかったオンラインでの集客が増え、ECサイトの売上が伸びることが、ここでいうニューノーマルに該当するでしょう。ニューノーマルにより企業の新しい販売戦略が見えてきたら、今度はその結果を踏まえて取り組むべき施策を絞り込みましょう。実店舗での売上が期待できないのであれば、ECサイトでの販売を強化するといった考え方です。
また、アフターコロナに備えた収益の改善やイノベーションにつながる土台作りも欠かせません。コロナが終息したらすぐに動き出せるよう、現状を踏まえて短期・中期・長期でビジネスモデルを見直すことが大切です。
ビジネスモデルに欠かせない要素
ビジネスモデルは、以下4つの要素で構成されています。
Who(顧客の選定)
ビジネスモデルのターゲットが該当します。現在の顧客だけでなく、今後顧客になりそうなターゲットも想定することが大切です。
What(何を扱うか)
ターゲットに対して何を提供するのか考えることです。顧客にとって何が価値あるものなのか考えましょう。
How(どうやって価値を提供するか)
Whatで設定した価値を、いかにターゲットへ届けるかを決めます。ターゲットに届けるための方法など、効果的な施策を考えてみましょう。
Why(なぜ収益が生まれるのか)
Who・What・Howの3つがどのように利益につながるかを考えます。Whyの工程を怠ると利益が生まれないばかりか、一時的な利益にしかつながらない可能性もあります。
ビジネスモデルの作成時に意識すべきポイント
優れたビジネスモデルを作成するためには、以下4つのポイントを押さえておく必要があります。
図解を活用する
特に初めてビジネスモデルを設計する場合は、ビジネスモデルについてのノウハウを図解で解説している資料を活用しましょう。図解を通じてノウハウを吸収することで、自社の事業に当てはめた時のシミュレーションも実施しやすくなります。
顧客にコストを意識させる
顧客の身近にあるサービスを参考に、ベースとなるコストを定めておきましょう。これまで触れたことのないコストの形態を掲示するのではなく、より安い・より高いを判断しやすいビジネスモデルがおすすめです。
ベースとなるビジネスモデルを決めておく
既存のビジネスモデルをベースにすることで、新たなビジネスモデルの構築にかかる時間を削減できます。他社で成功しているビジネスモデルを参考にして、自社に適したビジネスモデルへブラッシュアップしましょう。
競合他社の傾向をリサーチする
競合が入り込めない領域を取り入れ、自社ならではのエッセンスを加えることが大切です。特にベースとなるビジネスモデルがある場合は、いかに他社との違いを見せるかによって今後の売上が変化するでしょう。
ビジネスモデルを作成するメリット
ビジネスモデルの作成には、主に4つのメリットがあります。
事業の問題点を把握できる
ビジネスモデルの構築には、事業の収益構造を明確にする効果があります。収益構造の問題点が把握できるため、利益につながる施策を立てやすくなるでしょう。
事業への理解度が高まる
ビジネスモデルは、自社を分析することでより確実なものが出来上がります。自社が持つ強みや弱み、競合との違いを明確にすることで、自社への理解度アップにつながります。
事業について振り返る基盤になる
初期のビジネスモデルを残しておくことで、トラブルの対応方法や今後の施策がより明確になります。事業そのものの原点に立ち返ることで、新たな発見があるかもしれません。
事業に関する話題を共有できる
ビジネスモデルの立ち上げには、さまざまなメンバーがかかわります。メンバー同士の意見交換や事業についてのすり合わせなど、ビジネスモデルの構築を通じて話題を共有できるでしょう。
ビジネスモデルキャンバスとは
ビジネスモデルを作成するには、「ビジネスモデルキャンバス」などのツールを活用することもおすすめです。ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスの仕組みを見える化できるツールのことです。アレックス・オスターワルダー博士により開発された思考フレームワークで、ビジネスモデルの構築に重要な要素が詰まっています。
ビジネスモデルキャンバスの構成要素
ビジネスモデルキャンバスは、以下9つの要素から成り立っています。
- 顧客セグメント→ターゲットとなる顧客
- 価値提案→顧客のニーズや課題解決
- チャネル→顧客に価値を届ける方法
- 顧客との関係→どのような関係性にあたるのか
- 収益の流れ→顧客が何にどう支払いをするか
- リソース→資源は何になるか
- 主要活動→価値を生み出す主な活動
- パートナー→リソース不足を補う協力者
- コスト構造→事業の実現につながるコスト構造
上記で挙げた要素に自社の事業を当てはめてみると、事業の課題や進め方を明確にする手助けになるでしょう。
まとめ
ビジネスモデルは、事業で利益を生み出せるかを考えるうえで大切な要素です。利益を生み出す仕組みや構成要素などを把握し、顧客はもちろん自社にとっても有益なビジネスモデルを構築しましょう。
コロナ禍における変化に対応しきれていない企業は、今一度自社のビジネスモデルを見直してみてはいかがでしょうか。アフターコロナに備えた新たなビジネスモデルの作成も、今後の企業成長における重要な視点です。ビジネスキャンバスモデルなどのツールもうまく活用しながら、自社に最適なビジネスモデルを作成しましょう。