企業を運営するにあたって、費用対効果を考えることは非常に重要です。しかし、思うように費用対効果を出せていない、そもそも費用対効果について詳しく理解しきれていない企業もあるでしょう。今回は、費用対効果の意味や計算方法、重要視される理由について解説します。費用対効果を改善する方法などもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
費用対効果とは
費用対効果は企業が実施した施策の費用に対して、どの程度の効果を得られたかを表す概念です。「コストパフォーマンス」と訳されることもあります。名称通り費用に対する効果を表すため、お金の流れを基準に費用対効果について分析することが一般的です。また、あくまで「結果」を表す言葉ですが、費用をかける仮説の段階でも費用対効果の考えは利用されます。
費用・効果それぞれの意味
「費用対効果」という言葉に含まれる「費用」と「効果」は、以下の意味合いを持ちます。
「費用」の意味
- サービスの製造・販売にかかる費用と時間
- 広告に必要な費用と時間
- 製造におけるシステム導入にかかる費用・時間
- 人件費や労働時間
「効果」の意味
- サービスの提供を通じて得た利益
- 広告によって得た集客数
- 自社HPへのアクセス数
- 自社イメージの向上・定着
- 契約の成立数
費用はコスト全般を表し、費用に対する利益などが結果として表されます。
費用対効果の計算方法
費用対効果は、以下の式で計算します。
効果÷費用=費用対効果
実際にかけた費用に対し、どのような結果が得られたのかを示すものが費用対効果です。上記の式を使用して費用対効果を導き出し、分析に活かしてください。計算式を使用して正確な数字を表せば、反省点や新たな施策が明確になるでしょう。
費用対効果が重要視される理由
費用対効果は、主に以下3つの理由から重要視されています。
- 経営方針を見直すきっかけになる
- 明確な指標ができる
- コストバランスを再考できる
それぞれの理由について詳しく解説します。
経営方針を見直すきっかけになる
費用対効果が出ていない場合、経営方針そのものの変更が必要になるかもしれません。具体的に結果が数値化されるため、成功と失敗が明確になることが費用対効果のメリットです。明らかになった現状と向き合って経営方針を見直すことは、企業を成長させるきっかけになるでしょう。
明確な指標ができる
費用対効果について考えることで、自社として向かっていくべき目標がより明確になります。例えば、自社の目標が既存サービスの成約数アップだとしましょう。目標に対して明確な数字を設けることで、どの程度の時間でどれほど売り上げたのかが明らかになります。また、目標を達成するためにどう活動すべきか把握しやすくなる点も、費用対効果のメリットです。
コストバランスを再考できる
費用対効果を出せば自社がかけているコストが最適なものかどうか、客観的な目線で把握できるようになります。コストに対して結果が伴っていなければ、利益にはつながりません。また、結果に対して少ないコストをかけている場合、さらにコストをかけることでより高い成果が期待できます。このように費用対効果を把握すれば、施策の最適化を実現できます。
費用対効果を表す指標を解説
費用対効果と似た概念に、ROI・ROAS・CPAがあります。ここでは、それぞれの指標について解説します。
ROI
「Return On Investment」の略語であるROIは、日本語で「投資利益率」を表す言葉です。投資した額に対して得られた利益を分析するための指標で、費用対効果と考え方は似ています。
ROAS
ROASは「Return On Advertising Spend」を略した言葉です。広告における費用対効果を表しています。広告を出したことによりどのような結果が出たのか、広告で売り上げをアップさせるためにいくらかけるべきかが、ROASの考え方です。費用対効果の概念を、広告に特化させたものと考えると分かりやすいでしょう。
CPA
「Cost Per Acquisition」を略したCPAは、1件の効果を対象にしたコストを示す指標です。「獲得単価」と訳されることもあります。全体ではなく、一定の部分に対してどのような費用対効果があったかを表します。
費用対効果の改善方法
思うような費用対効果が出ない場合は、以下の施策の実施がおすすめです。
- 外部リソースを活用する
- コストの調整
- 会社全体の生産性を向上
外部リソースを活用する
費用対効果が思うように現れない原因には、自社のノウハウや人員が不足している可能性があります。従業員にコストを注いで結果が出ない場合は、外部リソースを効果的に活用しましょう。外部への依頼は費用がかかるものの、自社の課題に対して専門的な意見を仰ぐことができます。また自社の従業員が自分の担当すべき業務により集中できるようになることも、外部リソースを活用するメリットです。
コストの調整
費用対効果の改善は、現在かかっているコストを抑えることで調整できます。当然ですが施策に対して、費用をかけすぎている場合は費用対効果が期待できません。反対に、よりコストをかけるべき施策に対し、最低限の費用しかかけていない場合も同様です。施策に対する「最適な」コストを分析し、調整することで費用対効果の改善が期待できます。
会社全体の生産性を向上
コストだけに目を向けず、企業全体で生産性を向上させることもおすすめの改善方法です。いくらコストを最適化しても、施策を実行する従業員の育成が滞っては意味がありません。コストに見合ったパフォーマンスを実行できる集団を、育成や注意喚起を通じて実現しましょう。従業員がコスト以上の働きをするようになれば、よりコストを抑えながら利益につなげることも可能です。
費用対効果に見合わないケースの対策
自社で立案した施策が、費用対効果に見合わない場合もあるでしょう。以下の手段を取ることで、費用対効果に合った施策へのシフトチェンジが可能です。
- 費用の削減
- 需要に見合った費用へ変更
- 販売量の調整
費用対効果に見合った施策を実施するためにも、ぜひ参考にしてください。
費用の削減
まずは施策に対してかけている費用が、最適かどうか改めて分析してください。明らかにコストをかけすぎている場合は、その分のコストを別の施策にかけましょう。人件費だけでなく、広告費などを見つめ直すこともおすすめです。費用をかけて広告を出しても、ユーザーに届いていなければ出稿を中止してもよいでしょう。広告はあくまで手段であり目的ではありません。広告費をかける代わりの施策を考えることで、費用削減につながります。
需要に見合った費用へ変更
自社の理想とする費用対効果が、消費者のニーズに合っていなければ意味がありません。需要に応じて、サービス価格を最適化すべき場面もあるでしょう。ニーズに対して明らかに高い価格で提供している場合は、市場価格に基づいた価格に変更しましょう。反対に、ある程度のニーズが期待できるようであれば、多少増額させても問題ありません。
販売量の調整
よりニーズが高いサービスに関しては、価格と同様に販売量を増やすことが有効な施策です。ニーズがあるサービスにもかかわらず、消費者に届かなければ本末転倒です。別のサービスにかけている費用を調整して販売量を抑え、ニーズの高いサービスの提供に力を入れましょう。
また、販売量とかけた費用のバランスを意識することも大切です。サービスをアピールするためにかけた費用を回収できるように、販売量を調整してください。
まとめ
費用対効果は、企業で実施する施策が成功したかどうかを示す重要な指標です。施策に対するコストと結果のバランスを考え、適宜分析と変更が必要になります。費用対効果の現状が思わしくない場合は、外部リソースの活用やコストの調整、生産性向上の観点から改善してください。また費用の削減やニーズに合わせた施策を実施することで、費用対効果に関する課題を解決できる場合もあります。費用対効果を向上させる施策を通して、自社の業績拡大を実現しましょう。