新しい顧客にアプローチして新規受注を目指す新規開拓営業。営業の種類の一つとして新規開拓営業を知っていても、仕事内容や営業の手順については把握しきれていない方もいるでしょう。本記事では、新規開拓営業のメリットや主な手法、成功させるポイントについて解説します。本記事の内容を参考に、新規開拓営業に取り組む際の参考にしてみてください。
新規開拓営業とは
新規開拓営業とは、今まで接点がなかった顧客にアプローチし、新しい取引や関係を築いていく営業活動です。新規開拓営業は、未知の相手との信頼関係をゼロから築いていくため、高い営業スキルや情報収集能力、コミュニケーション能力が求められます。新規開拓営業で定期的に新市場や顧客を獲得することで、企業は安定した収益を確保し、持続的な成長を支えることに繋がります。
新規開拓営業のメリット
ここからは、新規開拓営業のメリットを3つの観点から解説します。
事業の成長を加速させる
新規開拓営業で新たな顧客を獲得することで顧客数が増加し、売上の拡大が期待できます。既存顧客への依存度が減ることで、事業の安定性と持続可能性が高まります。さらに新規顧客獲得により、新たな市場や顧客層へアプローチできるのも魅力です。新しいアイデアや解決策を生み出すきっかけとなり、商材・サービスの改善や新たなビジネスモデルが生まれる可能性もあります。
リスク分散になる
特定の顧客に依存することは、事業に影響を及ぼす可能性があります。特に現代は変化が激しく、市場の予測が難しい傾向にあります。新型コロナウイルスのような予期せぬ出来事も起こり得るため、既存顧客に依存するだけでなく、新規開拓を通じて事業のリスクを分散する必要があります。新規開拓によって販路を広げておけば、これらのリスクを低く抑えられます。
人材育成に有効
新規開拓営業は、営業人材の育成にも効果的です。初対面の顧客に対して自社のサービスや製品の価値を伝える必要があるため、新規開拓営業は既存営業よりも難易度が高いです。顧客ニーズや課題を把握してサービスを提案するにはさまざまな能力が求められるため、営業人材の育成に非常に効果的です。
新規開拓営業の主な手法
この章では、新規開拓営業の主な手法である「アウトバウンド」と「インバウンド」について詳しく解説します。
アウトバウンド
アウトバウンド営業とは、企業側から積極的にターゲット層に接触する営業手法です。具体的には、飛び込み営業やテレアポ、ダイレクトメールなどの手法があります。アウトバウンドは対象となる顧客を選択的にアプローチし、まだニーズが明確でない顧客にも接触できるので、新しいニーズの発掘も期待できるでしょう。
しかし、本来ニーズのない顧客にアプローチすること自体は効率が悪いため、受注できるかは営業担当のスキルやアプローチ方法に大きく依存します。
インバウンド
インバウンド営業とは、顧客の問い合わせに対してアプローチする手法です。企業ホームページやSNSを通じてターゲットの興味やニーズに応える情報を発信するため、顧客からの問い合わせやアクションが生まれやすくなります。自社の情報や価値を伝えるためのプラットフォームとして、適切な情報を発信することが求められるでしょう。
SNSは日常的なコミュニケーションの場としての側面を持ち、顧客との距離を縮める役割があります。特にテキスト系のSNSは運用が手軽にできる一方、フォロワーとの関係構築には独自のノウハウが求められます。YouTubeは動画によって情報伝達ができるため、商材やサービスの特長を魅力的に伝えるには最適なツールです。Web広告は目に留まりやすさを活かし、多くの人々に自社の存在を知ってもらう手段として有効です。
新規開拓営業を成功させるポイント
この章では、新規開拓営業を成功させる5つのポイントについて解説します。
目標設定を行う
新規開拓営業を成功させるためには目標設定が必要です。しかし、ただ目標を設定するだけでは進行状況や問題点の特定が難しいため、KPIを導入するのが効果的です。
新規開拓営業のKPIはアプローチの成果を数値で示すもので、アプローチした対象からの反応率を「リード創出率」として測定し、効果を具体的な数字で確認できます。「商談創出率」では、商談の機会がどれだけ得られたかを評価し、「コンバージョン率」で商談からの成約率を計測します。
ターゲットを明確化する
ターゲットの明確化は、新規開拓営業を成功させるために必要不可欠です。すべての顧客が自社の製品やサービスに共感するわけではないので、ターゲットを定めることが重要です。まずは既存顧客の業種や背景を詳しく分析し、何が成功の要因であったのかを理解しましょう。そのデータを元に業界のトレンド調査や競合との差別化ポイントの洗い出しを行い、新たな見込み顧客となり得る業界や業種を特定します。
商材に応じたメールの例文を作成する
新規開拓営業では、扱う商材・サービスに合わせてメール内容をカスタマイズすることが重要です。ターゲット層に特化したメッセージであれば高い開封率・反応率を持つため、顧客の興味を引く可能性が高くなります。
例えばBtoBの領域である製品の新規開拓を目指す企業は、取引先企業の業界や市場状況を深く理解し、それに基づく商材のメリットを強調するアプローチが効果的です。一方、同じ商材であってもBtoC向けのアプローチでは、製品の使用シーンやより快適な暮らしを強くイメージさせる内容が適しています。
また、メールの件名も重要な要素の一つです。興味を喚起するキャッチフレーズや具体的な解決策を盛り込んで商材・サービスを認知してもらうことで、メールの開封率が大きく変わります。
アポイントの成功率を上げる
新規開拓営業を成功させる鍵として、アポイントメントの獲得率を高める必要があります。アポイントメールを作成する際は、注目を引く件名の設定が重要です。メール本文は情報を簡潔に記載しつつ、顧客が求める商材・サービスの詳細をしっかりと伝えることが求められます。
また、メールの送信タイミングも重要であり、受取人の業務時間に合わせて送るとより効果的です。電話でのアポイントを取得する際には、丁寧な言葉遣いや、一定の声のトーン、相手の反応を敏感に察知する能力が必要です。
状況に応じたクロージングテクニックを使う
クロージングの段階では、ヒアリングや提案を通じて得られた好意的な反応を契約へとつなげるテクニックが必要となります。
最初は顧客に対して自社の製品やサービスが生み出すメリットや具体的な使用イメージを描いてもらい、購入意欲を刺激します。次に顧客の選択をサポートするアプローチを行いましょう。選択に迷っている顧客に対して適切なオプションを提供し、決定を容易にすることで、顧客の決断をサポートします。
最後に行うのは、確認のテクニックです。商談中に顧客の意見や疑念を取り出すような質問を投げかけることで疑問や不明点を解消し、顧客の納得感を向上させます。具体的には、「提案内容についてのご意見はいかがでしょうか」「何か疑問点や不明点はございますか」といった質問を投げかけて、相手の反応に対して不安を解消できる回答を用意しておきます。
新規開拓営業が辛いと言われる理由
しばしばビジネスシーンにおいては、新規開拓営業が辛いと評価されることがあります。この章では、新規開拓営業が辛いと言われる一般的な理由について解説します。
習得すべき経験・スキルが多い
新規開拓営業が辛いと言われる理由に、専門的なスキルや知識が求められる点があります。新規開拓営業の現場では、迅速な判断と積極的な行動、ヒアリング、コミュニケーション、時間管理、確実なクロージング能力など、多岐にわたるスキルが求められます。一からこれらのスキルを身につけ、経験を積んでいく過程には困難な局面も多くなります。しかし、これらのスキルを磨くことで成約率は飛躍的に向上するため、根気強く取り組む必要があります。
飛び込み営業や顧客対応などが多い
新規開拓営業では、飛び込み営業や顧客対応を求められることが多数あります。飛び込み営業では、営業担当者が直接潜在的な顧客である企業や個人を訪問し、自社の製品やサービスを紹介します。何度も営業お断りをされる中で、心身共に疲弊してしまう人もいるでしょう。また、事前にアポイントを取得して訪問したとしても、担当者の不在などにより予期せぬキャンセルが入ることもあります。
チームワークやコミュニケーション能力も必要
新規開拓営業は取引実績がない顧客や企業と初めて関わるため、高いコミュニケーション能力が求められます。業界や顧客の規模によっては、特定の専門用語や業界固有の慣習が存在するため、これらを即座に理解し、適切に対応する能力が要求されます。営業担当には、継続的な学びの姿勢や適応力が求められるため、大きな負担となります。
新規開拓営業は未経験でも転職できる?
新規開拓営業は未経験でも転職できる可能性が高い職種です。実際に多くの営業が未経験で入社してから、必要な知識やスキルを身に着けています。新規開拓営業で実績を出せる見込みのある人材は、幅広い業界で求められています。営業として働くことで社会人に必要な基礎的ビジネスマナーを習得できるため、広い視点でキャリアプランを考えている方にも人気が高いです。
まとめ
本記事では、新規開拓営業について解説しました。新規開拓営業は未経験者にとって負担が大きい部分もありますが、提案力や社会人基礎力を含む多くのスキルを習得できるメリットがあります。他の業界・職種に応用できるスキルを習得すれば、企業から求められる市場価値の高い人材になれるでしょう。本記事を参考に新規開拓営業を成功させるポイントを押さえて、転職活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。