外資系コンサルとは、クライアントの課題を発見し解決していく仕事です。転職難易度は高いものの、外資系企業の中でも特に高収入を見込めることから、外資系コンサルを目指す方も少なくありません。しかし、外資系コンサルを目指すうえで、何を把握しておくべきかわからないという人もいるでしょう。
今回は、外資系コンサルの仕事内容や主な役職、転職方法を紹介します。また、外資系コンサルの転職事情についても解説しているので、自身の現状や将来像を照らし合わせながら、今後の参考にしてください。
外資系コンサルとは
外資系コンサルとは一般的に、海外法人や海外投資家による一定比率以上の出資または運営している企業(コンサルティングファーム)を指します。経済産業省では外資系資本の比率が3分の1以上の企業を対象にしており、それを基準とするケースが多いようです。海外企業の日本法人(子会社)や日系企業と海外企業が共同で出資・設立した企業などがあります。
外資系コンサル企業の一覧
外資系コンサルの大手といえば、世界4大監査法人のデトロイト、PwC、KPMG、EYのグループに属する「Big4コンサル」が有名です。コンサルティングは海外でスタートしたビジネスであり、日本の業界内でも多くのシェアを占めています。ここでは主な外資系コンサルティングファームを、専門分野ごとに紹介します。
<戦略系> マッキンゼー BCG ベイン アンド カンパニー アクセンチュア(戦略) A.T.カーニー ドリームインキュベータ アーサー・ディー・リトル PwC Strategy& ローランドベルガー コーポレイト ディレクション(CDI) モニター デロイト | <総合系> デロイトトーマツコンサルティング アクセンチュア アビームコンサルティング ベイカレントコンサルティング PwCコンサルティング KPMGコンサルティング EYストラテジー・アンド・コンサルティング シグマクシス 日本IBM クニエ 日立コンサルティング |
<IT系> ガートナージャパン フューチャーアーキテクト ウルシステムズ キャップジェミニ | <シンクタンク系> NTTデータ経営研究所 三菱UFJ リサーチ&コンサルティング 野村総合研究所 日本総合研究所 |
<組織・人事系> マーサージャパン タワーズワトソン コーンフェリー・ジャパン エーオンヒューイットジャパン | <財務アドバイザリー系> PwCアドバイザリー デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー KPMGFAS EYTAS |
<医療・ヘルスケア系> メディヴァ グローバルヘルスコンサルティング IQVIAソリューションズ ジャパン KPMGヘルスケアジャパン | <日系/国内独立系> 船井総合研究所 タナベ経営 山田ビジネスコンサルティング リブ・コンサルティング |
<業務&業界特化系> フィールドマネージメント ZSアソシエイツ シンプレクス IGPI ものづくり戦略カンパニー | <企業・事業再生/ハンズオン系> アリックスパートナーズ 経営共創基盤 リヴァンプ フロンティア・マネジメント |
<監査法人> 監査法人トーマツ PwCあらた監査法人 新日本監査法人 あずさ監査法人 |
外資系コンサルの仕事内容とは
外資系コンサルの主な仕事は企業の経営課題を解決するために、アドバイスやサポートによって解決に導くことです。クライアント企業の課題をもとにプロジェクトチームを立ち上げ、チーム単位で仕事を進めます。クライアント企業の経営層に戦略を提案するまでには、仮説・検証・修正のプロセスを踏みながらブラッシュアップするため、多くの業務が必要です。例えば、以下のような業務にも対応します。
- 情報収集と資料作成
- クライアント企業の社内ヒアリング
- 関連する業界の研究
- インタビューの実施と検証
外資系コンサルは「戦略系コンサル」「総合系コンサル」など、課題解決において高度な知識とリソースが必要なため、専門分野ごとに分類されています。
コンサルティングの種類 | 特徴 |
---|---|
戦略系 | 中長期の営業戦略や新規市場への参入などの経営サポート |
総合系 | 事業戦略からシステム導入など業務改善までをサポート |
IT系 | DX導入やシステムの最適化など、ITを活用してサポート |
シンクタンク系 | メガバンクなどの子会社で、大手グループの総合力でサポート |
組織・人事系 | 採用や研修、人事評価制度など組織や人事の改善をサポート |
財務アドバイザリー系 | M&Aや企業再生支援など金融関連に特化してサポート |
医療・ヘルスケア系 | 医療機関やヘルスケア領域企業の課題解決をサポート |
日経/国内独立系 | 日本発のファームで、中小企業の生産・製造現場をサポート |
業務&業界特化系 | 対象領域への深い知見に基づいた専門領域に特化したサポート |
企業・事業再生/ハンズオン系 | 業績の低迷・悪化などの企業再生支援をサポート |
監査法人 | 世界規模の会計ネットワークでグローバル企業をサポート |
また外資系コンサルにはいくつか役職があり、それぞれ主な業務が異なります。以下の項目からは、役職別に仕事内容を紹介します。
外資系コンサルの役職
外資系コンサルの年収は、日系コンサルと比較すると高い傾向にあります。役職ごとの平均年収は以下の通りです。
- アナリスト:400〜900万円
- コンサルタント:900〜1,400万円
- マネージャー:1,300〜2,000万円
- シニアマネージジャー:1,400万円〜2,500万円
- パートナー:2,000万円〜
参考:外資系コンサルとは?仕事内容から年収・未経験から転職をする方法を解説 | エグゼクティブリンク
役職が上になるほど、年収も高くなります。しかし、外資系コンサルには高いレベルの知識や実績が求められることを認識しておくべきです。
外資系コンサルは成果主義のため、実力を示せると昇進スピードが早いのが特徴です。高いインセンティブを得ることもできるため、高い人気を誇ります。外資系コンサルは実力次第でスキルや市場価値が高まり、市場からのニーズが高く他の企業からも求められやすいため、大幅な年収アップや独立・起業などの道もあります。
外資系コンサルに向いている人の特徴
外資系コンサルに向いている人の特徴適性
外資系コンサルの評価基準は成果主義なため、それにともなうフィジカルとメンタルが求められます。そのため、外資系コンサルに向いている人は以下のような人といえるでしょう。
- 成長意欲の高い人
- ハードワークに耐えられる人
- 自己アピールが得意な人
- プレッシャーに強い人
- ホスピタリティのある人
- 自由な発想ができる人
活躍できるコンサルタントになるには、成果を残すことだけではなく、クライアント企業の成長や課題に対し「役に立ちたい」と考えた提案ができることも重要です。そのためには、平凡なアイデアではなく、依頼に対する満足度を上げる発想力も必要でしょう。
外資系コンサルに転職するための対策
外資系コンサルの選考通過はかなり難易度が高く、コンサルティング業界特有の面接などで適性の有無をチェックされます。そのため、転職時にしっかりした対策を実践すれば、成功率を上げられる可能性があります。そこで、外資系コンサルへの転職活動前にやっておくべき対策を紹介します。
学位・資格を取得する
外資系コンサルに転職したいのであれば、経営学修士や経営管理修士の取得がおすすめです。一般的にはビジネススクール卒業時に取得できる資格ですが、勤務しながらでも取得可能です。外資系コンサルはある程度の知識量や資格が求められるため、焦って転職活動を進めるのではなく、まずは経営学修士・経営管理修士の取得を目指すべきです。
論理的思考能力を養う
外資系コンサルには、クライアントの課題を理解し、論理的に説明する能力が求められます。課題に対し、的確かつ実現可能な解決策を考案し、かつ論理的に説明できれば外資系コンサル企業から求められやすくなります。
コミュニケーション能力を鍛える
外資系コンサルは業務特性上、さまざまな人と対面でやり取りします。そのため、高いコミュニケーション能力が必要です。ただコミュニケーションが得意なだけではなく、先ほども触れた論理的思考能力に基づいたやり取りが求められます。
英語を習得する
外資系コンサルでは英語でのコミュニケーション力を求められる機会が多いため、英語を習得しておきましょう。会議やプレゼン、資料作成に必要な英語力は、最低でもTOEICC®800点レベルです。しかし、ネイティブレベルの英語が必ずしも必須とは限らず、転職先によっては日本語を使う場面も多くあります。外資系コンサルに転職する際には、外国人の経営者やコンサルタントとのコミュニケーションで、不自由なくできる程度の英語力は必ず身に付けましょう。
転職エージェントを活用する
経験や適性などを踏まえ、今の自分が外資系コンサルになれるか自信がないという人もいるでしょう。転職に不安を感じているのであれば、転職エージェントに相談するのがおすすめです。転職エージェントであれば、自身の現状を客観視し、そのうえでどうすれば外資系コンサル企業に転職できるのか的確にアドバイスをくれます。
外資系コンサルの転職でよくある質問Q&A
ここでは、外資系コンサルの転職の際、転職エージェントに寄せられるよくある質問について紹介します。
資系コンサルへの転職は難しい?
外資系コンサルへの転職は、一般的に難易度は高めです。コンサルタントは人気の高い業界であるとともに、特に人気の高い外資系戦略ファームの面接通過率は1%程度といわれています。転職先としては非常に狭き門のため、事前に勉強や対策が必要です。しかし、未経験者や他業種から転職する方も多く、専門スキルなどを活かして転職するケースも見られます。
専門スキルにあったコンサルティングファームを選んで対策しましょう。
外資系コンサルの働き方は?激務って本当?
外資系コンサルは労働時間が長く、激務であることは間違いないでしょう。その理由は、クライアント企業の経営面や事業面の課題解決に向けたアドバイスやサポートを行うために、多くの資料作成とミーティングが行われ、さらに膨大な量の知識をインプットする必要があるためです。ただし「働き方改革」により、多くのコンサルティングファームではフレックスタイム制の導入やリモートワーク、福利厚生の充実をはかっています。
コンサルティングファームによって働く環境が異なるため、企業研究を綿密にしましょう。
外資系コンサルに学歴は必要?
外資系コンサルには、一般的に一定の学歴フィルターが存在するといわれています。なぜなら、求職者のポテンシャルを測る基準になるからです。コンサルタントに必要な分析力やプレゼンテーション能力の高さを判断するためです。また、学歴を使うことで、クライアント企業に対してサービスの品質保証を示す役割もあります。しかし、学歴がなくてもコンサル適性があると判断されれば、名門大学を卒業していなくても採用される可能性はあります。
コンサルタントに必要な能力があることを証明するために、自分の強みや経験を効果的にアピールしましょう。
外資系コンサルで新卒・中途採用の転職市場は?
外資系コンサルの転職市場では、特定領域の専門知識を持つ経験豊富な人材を高く評価されるようになっており、中途採用でコンサル未経験者も多く採用されています。その背景には、新卒の高い人気による若手コンサルタント数が過剰となり、中堅のマネジメント層が不足しているからです。また、コンサル業界外でコンサル経験者をヘッドハンティングする動きが活発化しており、中堅層が減少しています。そのため、30〜40代の中堅層の積極採用が続くと予想されます。
外資系コンサル企業の面接では、以下の能力があるかどうか判断されます。
- 論理的思考能力があるか
- 臨機応変な対応力があるか
- 思考の柔軟さや素直さがあるか
- チームで問題解決する能力があるか
- 信頼を獲得できる人間的な魅力があるか
企業の採用担当者は、上記の能力を有している人材かどうかを判断するために、さまざまな質問を投げかけてきます。適性や将来性をチェックするために、フェルミ推定やケース面接を行う企業もあります。フェルミ推定・ケース面接の詳細は以下の記事で紹介しているので、外資系コンサル企業での面接対策としてお役立てください。
まとめ
今回は、外資系コンサルを目指す人に向けて、仕事内容や役職、転職の方法について紹介しました。クライアントの課題を高いレベルのスキルで解決していく外資系コンサルは大変さの中にも大きなやりがいのある仕事です。本記事では、外資系コンサルの年収や将来性、面接時のポイントなど、実際の転職にあたって押さえておきたい情報も紹介しています。外資系コンサルを目指している・外資系コンサルという仕事についてまずは知りたい人にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。